295. 岩手ツアーで仮設住宅体験 (2024.4.20)

「震災の備えは大丈夫ですか?」

関東同窓会有志による岩手ツアーを4月13-14日に開催しました。東日本大震災から13年を経過し、能登半島で地震があったばかりのタイミング。今年は陸前高田市で仮設住宅に宿泊するとともに、防災・減災の学習プログラムに参加し、震災への備えについて改めて考えました。

ツアーは震災復興のNPO「Save Iwate」を運営する寺井良夫氏(92期)の陣中見舞いを兼ねて2014年から実施しています。今年は87-94期の9人が参加しました。

「3.11仮設住宅体験館」は、震災後に仮設が並んでいた旧米崎中学校の敷地内に、実際に利用していた施設を使って2021年秋に開設しました。住宅内部には当時の使っていたテーブルやラックなども残り、生活の様子をうかがわせました。日常生活は送れますが、やはり狭苦しい感じは否めません。隣との壁の薄さも気になります。室内には「冬は結露が大変だった」とか、「隙間から虫やカエルが入ってきた」など体験を記したメモが貼ってありました。



宿泊した仮設住宅の前で。施設は震災後の数年間、実際に使用されていた


旧校舎(現在は陸前高田グローバルキャンパスとして利用されている)で行われた防災関連の学習プログラムに参加しました。震災後の避難所で1人当たりのスペースは2平方メートル。床は固く、寒い、段ボールを敷き毛布にくるまったが落ち着かない、アルミのシートは汗が中に籠もり、メリメリ音がするので夜は他人の迷惑になり使いにくい、と感じました。



学習プログラムでは避難所を疑似体験。1人当たりの場所は狭く、床は固く寒かった


震災への備えを問われました。被災直後に家族と安否確認する手順を整えているか(災害用伝言ダイヤルの171番)。避難所でなく家で生き延びるための準備はできているか(耐震化や家具固定等々)。在宅避難のためには1週間分の水や食料が欠かせないが大丈夫か。とりわけトイレの準備は何より重要と、何度も念押しされました。



被災後自宅で1週間生活するためには、水、食料などこのくらいの物資が必要という。中でも携帯トイレは最重要だ


プログラム終了後、「帰ったらまず何をやるか」と尋ねられました。反応は、安否確認の伝言ダイヤルをセットする、携帯トイレを購入する、本日の学習メッセージをネットやSNSで拡散する、等々。ツアー後のメールやり取りでは、さっそく「171を利用可能に整えた」「友人に話をした」などの報告がありました。

きちんとした災害への備えは自分や家族の身を守るだけでなく、被害の縮小や必要な支援の軽減を通じて被災地全体にも役立つ。関東や静岡でいつ大地震があってもおかしくない。震災を他人事でなく、自分自身の問題として向き合っているか。改めて考えました。



震災から13年を経過した陸前高田の街。14.5メートルの津波に覆われた旧道の駅は震災遺構となり、かさ上げした場所には移転・新設した家が並ぶ



奇跡の一本松に近い海岸付近の地には津波の伝承館「いわてTSUNAMIメモリアル」が開設された。説明してくれたガイドさんは中国系の方だった



仮設住宅の内部。当時の生活の様子が伝わって来る



被災直後は、電気もガスも利用できない場所も多い。学習プログラムでは炊き出しの経験をした