30. 第37回関東同窓会総会・懇親会開催(2011.7.15)

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平成23年度の関東同窓会総会が、2011年7月15日午後6時より、今年はホテルグランドヒル市ヶ谷にて開催されました。

母校静岡高校の乗松副校長からは「質の高い文武両道」を掲げて勉学に励みスポーツに打ち込む在校生の現況や期待のかかる野球部の今夏の戦力などの説明をいただきました。

議事にうつり、会費収入の伸び悩みと会の活性化のための支出とのはざまで厳しい決算となっている現状収支決算と今期計画が報告されました。前向きな必要支出は残したうえで出来るだけ経費を削り、それと同時に新規の会員を増やしていき会費収入もそれにつれて増やしていくという方向で今後も会の運営を進めていく事業計画の説明がなされました。

同窓生による講演は幹事期の89期の林茂氏が講師です。サントリーに入社され都合13年イタリアに駐在しイタリア食材の輸入などに手腕を発揮、そしてイタリアにおいて日本人として初めてソムリエ資格を取得され、カテリーナ・ディ・メディチ賞などを受賞日伊の食文化の交流に大きな足跡を残しました。イタリアワインの第一人者でありワインやイタリアに関する著書も多数あるワイン好きなら知らない人のいないその道のマエストロです。

そんな林氏の講演は例年と趣を変えてテーブル席でワインを試飲しながらというユニークで楽しい趣向のものになりました。

林茂氏 テーマ 「イタリアワインを楽しむ」


私はサントリーに入社後営業を経験したのち海外でレストランを運営する部署に配属になりしばらくしてから同期が3人海外の現地レストランに赴任することになりメキシコのアカプルコ、ブラジルのサンパウロ、そして自分がイタリアのミラノにそれぞれ行くことになりました。

イタリアと日本の違いは多々あって、例えば日本の子供は学校で制服を着るがイタリアは制服がない。日本は制服があるので子供が何を着ていこうかあるいは着せようかと悩む必要がないですが、イタリアでは考えなくてはいけないかわりに子供のころから何色を着ていこうかとか何に合わせて着ようかとか考えていくうちに自然に色彩感覚だとかコーディネートの感覚などを磨いていくようです。そういうところから外からの強制で縛られることのない自由な発想自由な感覚が身につき独特のイタリアデザインがはぐくまれていくように感じています。

ところでイタリアへ行ってレストラン経営をし現地の食材やワイン対しての知識経験を深める中でワインと食材の相性やワインの味わい方などの理解が深まりソムリエ資格を取得することになりました。そしてワインの味わい方などの適切な本がないことに気づき、それなら自分で書いてみようとワインの本を書き始め今に至っています。

ワインを適切に味わうために林氏が用意してくれたワイングラス 注がれた赤と白のワインが素敵な世界へいざなう

ウィスキーや焼酎や日本酒などのほかの酒類とワインとの違いは、ワインが生の材料(ブドウ)を使うという点。生であるだけにワインは取り入れから酒造りまでのタイミングがとても大事でそのタイミングの少しの差によってできた酒の味が大きく変わるし、産地によってもずいぶん異なるワインになります。また生のブドウを使うことで酸が残りしかもアルカリ性という健康にもよいアルコールとなる。ワインの酸は4%前後あるが日本酒では1%前後、そのため日本酒はつまみとして辛いものがほしくなります。ワインはアミノ酸の食材にあうので食事の始まりから終わりまで通して一緒に楽しめるわけです。

「この白ワインは若いので少し緑がかって見えます」


試飲していただく白ワインは麦わら色をしたワインですが若いのでグラスを傾けたとき少し緑がかって見え、もうひとつの赤ワインのほうも若い熟成度のワインでグラスを傾けたときすこしオレンジがかって見えます。 ワインは注がれたら直ぐに飲まずにまず色を見てください。そして香りをかいでください。このワインはスモーキーな香りがします。

イタリアにはどこへ行ってもバール(BAR)と呼ばれるカフェのようなものがあります。17世紀のウィーンにヨーロッパで初めてのカフェが出来てから幾多の変遷を経てイタリアのフィレンツェで立飲みコーヒー店バールができました。今ではニーズに合わせて様々な種類のバールができていてこれなしにイタリア人の生活は成り立たないくらいです。

その時々の場面に合わせて「自分のバール」を持っていることはとても大切なことで、道でばったり知り合いに出くわしたとき間髪入れずに「自分のバール」に連れて行ける、そしてそこの主人と親しげな会話が出来ると、その知人との関係は深まる。しかもエスプレッソ2杯250円ていどで素敵な人間関係がつくれる。

バールのような代官山イータリー(林氏の運営する食材店・レストラン)


上記の店内のイタリア食材販売のコーナー


イタリアの達人という雰囲気の林氏は「ちょいワル親父」というイタリアのイメージよりむしろシブい中年の魅力を漂わせていて、今日いただいた若いワインとは一線を画す熟成されたワインのようなオーラで聴衆を魅了していました。

本年度の総会の運営当番期は89期でした。89期同窓生の皆様たのしくて美味しい会をありがとうございました。

89期の皆さん